Drowned prod. 〜 Repulse Recordsを経て、デス・メタル創成期から長年レーベルを運営し続けるAVULSEDシンガーのDave Rotten氏によるXtreem Musicが、初期デス・メタル・レジェンド・バンドのデモまたはEPを10"アナログ盤で再発するコンピレーション・シリーズ "10 Inches of Deathcult"を2020年にスタート。各色100枚プレスの3種ビニールで合計300枚というミニマムなリリースですから、元々レーベル直販のみとして始まった企画盤ではありましたが、これがまぁーもぉーことごとくたまんないラインナップなので交渉を試みてきたけど、今までは回答すらもらえてませんでした。しかし、最近BOYもちょっと認めてもらえたようで、今回は遂に数種取り扱いOKが出ました！！

こちらはPeacevilleからのフル・アルバムが有名なNYデス・メタル・バンドの2枚の7"をまとめた4曲入りコンピレーションです。The Dead Shall Inheritアルバムもそうですが、このバンドはジャケ・アートのセンスにマイナー・メタルのクサレた雰囲気が強く漂っていて、特に今回の10"のジャケにもなっている1st 7"のアートが素晴らしいクサレっぷりなので、背景色を黒に変えて再現したこのジャケは最高の一言に尽きます。


TRACKS A1-A2 : S/T 7" (1990年)
TRACKS B1-B2 : Boiled in Blood 7" (1991年)


サウンドはこれぞNYデス・メタル！な、SUFFOCATIONとCANNIBAL CORPSEからの強い影響を感じさせるスタイルながら、The Dead Shall Inheritアルバムで確立したその2大バンド流NYDMスタイルよりも、ちょっとだけまだ粗くプリミティブな未完成さが楽しめます。ブルデス的ファットな大味さが全く無く、刻みリフにSLAYERやPOSSESSED起源も垣間見せて、その感触はまるで、Wild Rags, Seraphic Decay, Necroharmonic, etcのカルト・レーベルのマイナー臭そのもの。今回入荷してきたものの中では、サウンドとジャケも含めた全てにおいて、"10 Inches of Deathcult"というこのシリーズの趣旨に最もマッチしたリリースではないかと思います。

10"ってアナログ盤ファンにも基本的には人気のないサイズだけど、Daveさんは敢えてこのサイズにしたのでしょう。初期デス・メタル・カルト・クラシック・バンドがこれだけまとめて10"で揃うと、コレクター心理は非常に刺激されてくるかと思います。当時のフライヤー/写真/ファンジン記事など掲載したインナーの出来も申し分ありません。もちろんこのシリーズは既に完売入手不可のモノもかなりあるので今からコンプリート・コレクションは至難の業ですが（シリーズもまだ完結していない）、Wild Rags Hardcore Demoシリーズとか、Combat Boot Campといった企画モノを見つけるたびにチマチマ買ってたのが楽しいメタル・アナログ・コレクターには、また新しい楽しみが増えたと思って覚えておいてほしいです。

(June.30.2021)

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