「遂にコレがブートで出てしまいました。メタル・パンク・クラシックでまだ再発されてないのは、アレとコレとソレが残ってるな、と常々悶々と考えていたうちの1つ」と、ORALのブートCDが出た時に私は商品解説で書きましたが、その中のソレ役だったHELLS BELLESがブートだけど遂にCD再発！！！アレ役のCDも早く入れねば。。。

DISCHARGEのギタリストがヘヴィメタル・バンドを結成、とBurrn!誌が紹介したくらいしか当時は情報が無くて、しかもスラッシュ・メタルとハードコア・パンクのクロスオーバー・ムーブメント最盛期だったから、トラディショナルなスタイルを継承していたこのHELLS BELLESは、血気盛んなスラッシャーには見向きもされなかった、と言うか存在すら知らなかった人も多かったと思います。Bonesの後釜としてDISCHARGEに加入したPoochがギター。結成当時はDISCHARGEドラムのGarryも在籍していましたが、1986年に発表したデビュー・アルバム "Hells Belles"の時点でGarryは既に離脱していて、ロック史に残る世紀の迷走作 "Grave New World"を同年に発表したDISCHARGEに復帰していました。

DISCHARGE偏愛が無ければ理解不能な"Grave New World"アルバムで大いに幻滅させられたパンクスやメタルヘッズが、世界各地のライブ会場で暴動を起こしかねない騒ぎとなっていた当時のDISCHARGE大不評の煽りを食らってか、このHELLS BELLESは私の知る限りでは全く評価されてなかったけど、後世のヘヴィメタル・マニアックスの間では大まかに分類するとナスティー/グラム・メタル系に振り分けられ、その筋ではしっかり評価されてきたそうです。今回のこのブートも、おそらくヘアー・メタル系のディーラーの仕事かな？と私は勘ぐってます。確かにアルバムのトップを飾る名曲 "Looks Like Love"は1st 12"の頃のRATTみたいだし、続く2曲目 "Overload"の疾走感と鋼鉄リフのマッチはMOTLEY CRUEっぽい。イギリスのMOTLEY影響下グラム・メタル代表作 WRATHCHILDの1stアルバム "Stakk Attack"ももちろんモトリー全開だったけど、VoのRocky Shadesは生粋の伝統的グラム・ロック継承者だったのか、モトリー型鋼鉄系グラム・メタルに全くフィットしない底抜けにナスティー・キャッチーなスタイルを頑として崩さなかったから、英国産特有のウェットな叙情も全編に漂うこのHELLS BELLESの方が純正ヘヴィメタルに近いというのも面白いところ。そういや、Rocky Shadesも幻のDISCHARGE歴代シンガーの1人（フォト・セッションのみ）でしたね。

ということで、イギリスのメタルとパンクの相関図は永遠に興味深くて話が終わらなくなるのでもうやめますが、LA MetalインフルエンスドNWOBHMの如きこのHELLS BELLES、フィジカルで所有できるチャンスを逃す手はありません！！7"バージョンは実在するのか？（しないと思う）と、長年コレクターを悶々とさせている1986年EP "Barricades"もボーナス収録した全13曲入り。


「HELLS BELLES」(1986)
Looks Like Love
Overload
Desire Me
Screaming For Mercy
Hells Belles
Barricades
Strangelove
Dirty Girls
Storm Break Loose
Long Legs

「BARRICASES」EP（1986）
Barricades
If It Don't Make Your Ears Bleed (It Ain't Rock And Roll)
Storm Break Loose

(May.10.2022)

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